戦火で失われた現在の首里城の建物が復元・再建されたのは、現在40代の私が10代のころだった。
だから歴史的建造物がなくなったという実感は強くないのだけれど、それでも失われるものは大きい。南殿の多数の展示物も焼けただろう。
実体のあるものが焼けてなくなったということとは別の喪失感も、これから大きく広がりそうな気がする。
せめて今回の火事で何が失われたかを知ることから始めたい。
前回の復元にかかわった人たちには、すでに高齢のかたも多いはずだ。彼らにもう一度新しい首里城を見せることができるだろうかと考えてしまうが、いま生きているわれわれのうちの誰かがそのときを見るだろうことは確信している。