ここ数年の間に買った古本に挟まっていたものを集めて載せてみた。
新刊書に挟まっている月報などのチラシ類もよく挟まっているが、前の持ち主がしおりとして使ったと思しき紙類なども、古本にはまれに挟まったままになっている。
一番種類が多いのはレシートだが、それ以外のものが出てくるとちょっとうれしかったりする。
古本に挟まっていたもの一覧
切り抜き
森茉莉『貧乏サヴァラン』には、新聞に載ったこの本の書評の切り抜きが挟まっていた。
これは沖縄県のブックオフ実店舗で買った本で、新聞も地元紙だった。わりと近い場所から漂流してきている。
落書きやメモ
シールに描かれた子供の落書き。これもたぶん同じ『貧乏サヴァラン』に挟まっていたと思う。もしかしたら一緒に買った別の本かもしれないけど定かではない。絵柄は金棒を持った鬼だと思われる。
裏は女の子と星とチューリップを描いてあった。
『OL進化論』の文庫7巻には、「チェックポイント」なる謎めいた数字を描いたメモが挟まっていた。
もしやと思ってそれぞれの数字のページを確認してみたけど、作品の内容と関係があるのかないのかはわからなかった。
書店のしおり
ブックガーデンのしおり。行ったことのない土地の書店のしおりが挟まっていると、遠くからやってきたのだなと思う。
ブックエキスプレスのしおりもあった。
しおりは数が多いので、しおりだけまとめて別に記事を書きました。
半券
土門拳の『腕白小僧がいた』には、山形県酒田市の土門拳記念館の入館券の半券が挟まっていた。最初の持ち主は館内で購入したのだろうか。
こちらは「天然記念物千仏鍾乳洞」の半券。福岡県北九州市にある。
レシート
レシートはよく挟まっている。鴨下信一さんの『忘れられた名文たち其ノ二』には、ジュンク堂三宮店のレシートが。
日付は98年の6月17日だった。およそ20年を経て僕のところに届いたことになる。
『二十四の瞳』の文庫には、ブックオフセンター街店のレシート。センター街店は2018年7月に閉店している。
『国民クイズ』の4巻には、ブックオフ青葉美しが丘西店のレシートが。
そしてこの店舗も2019年7月に閉店していた。あざみ野かたまプラーザが最寄りだけど、駅から遠かったかな。
『全国古本屋地図’98改訂新版』には、正誤表と、この本を買ったと思われる書店のレシートが早稲田周辺のページに挟まっていた。
東京・大阪や京都のページの隅が折られていたり、几帳面な字で正しい住所に修正されたりしていて、この本を持って東京と近畿の古書店巡りをしたのだろうと思われる。
「いずみ書店」は神田駅南口にあった駅前の本屋さん。2020年現在はセブンイレブンが入居しているが、ストリートビューの過去画面で往時の姿を確認することができる。
スキャンしてから読もうと思って裁断していたらはらりと出てきた丸善ブックメイツのレシート。
横浜ビジネスパーク内にある書店のようだ。
黒井千次さんの『日の砦』からは、東京都北区にある会社名の入ったガソリンスタンドのレシートが出てきた。このENEOSの近隣にある。
領収書なら経理が収納してそうなものだけど、なぜこのレシートが古本に挟まっていたのか気になる。月一くらいで会社に一括で請求が行くようなシステムなのかもね。
『スタインベック短編集』には、TSUTAYAレイクタウンのレシートが挟まっていた。
なんとなく滋賀県だろうかと思ったら、じつは埼玉県越谷市。
岐阜県の三省堂書店のレシートは、書店のしおりと一緒に挟まっていた。
この川端康成の『掌の小説』は、ぼくが高校生だった1988~89年頃に買って読んだ時には価格が600円で、「文庫で600円って、高っ」と思ったのを今でも覚えているけれど、1000円を超える文庫もざらにある現在は、税込み740円ならそんなに割高感はない。
(そして2021年現在、調べてみたらこの本も税込み1000円を超えている。)
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の120巻には、「両さんサブレ」の小さいチラシと、綾瀬駅西口のヤマシタ書店のレシートが挟まっていた。
ヤマシタ書店は現在は東口に移転しているそうだ。
綾瀬駅は亀有駅の隣なので、亀有の葛飾伊勢屋でお菓子を買って、それから一駅歩いてこのコミックスを買ったんだろうかなどと想像している。
飲食店のカードなど
スタインベックの『怒りの葡萄』上巻には、餃子製作所ダンダダン酒場の名刺サイズのカードが挟まっていた。
こちらも読む前に裁断してしまったので、上の方が少し切れている。
国分寺にあるお店のようだ。
COOK COOP CAFE(クック・コープ・カフェ)は新宿と大宮と川崎にあったお店で、現在はすべて閉店しているらしい。
ネットで検索できる写真を見るとケーキがおいしそうだった。そのお店の卵型のシールが入っていた。
大沢在昌さんの『新宿鮫』には、食の祭典2017の共通クーポンが挟まっていた。
QRコードを読んでみると、滋賀県大津市の琵琶湖湖畔で開催されたイベントのサイトにつながった。それによると2019年は台風で、2021年はコロナで中止になっている。次回は無事開催されることを願う。
そのほかに挟まっていたもの
青林工藝舎版の『刑務所の中』には…、
カバーをはいだ表3に閲覧票が貼り付けてあった。
検索してみると、閲覧票は刑務所や拘置所に本が差し入れされるようなときに貼られるものらしい。
ということは、この本も刑務所帰りなんだろうか。それとも装丁の一部なのか? 題材が題材だけに判別がつかない。
『谷内六郎展覧会 冬・新年』には82年2月の「今月の新刊」と、ホテル熱海静観荘 レストランシアター・サーフクラブのメモ用紙が挟まっていた。
静観荘を検索すると箱根湯本の高級温泉旅館しか出てこないが、移転したのだろうか。
以前静観荘があった場所には、いまはソフィア熱海デイサスというマンションが建っているようだ。貫一お宮の像の近くにある。
この(旧)静観荘に、付きのバンドマンとして長期滞在した人のブログがあった。
これはブックオフオンラインで買った品物の状態が悪かった時に入ってくるしおり。その本の商品代は0円になるので得した気分になれる。
しかしもっとひどい状態の悪い本があっても、それにはついてこなかったりする。
前川つかさ『なにもないシアワセ大東京ビンボー生活マニュアル』の見返し(遊び)には、手書きの販促用付箋が貼られていた。
新刊のシュリンクに貼られていたものを買った人が挟んでおいたのだろう。CDのオビをケースに挟み込んで取っとくみたいに。
琉球大学の生協で15年前に買われた本が2019年にブックオフオンライン経由で沖縄に還流してきた。本は『新!おきなわキーワード』。
どの本に挟まっていたか覚えていないけれど、1980年の映画のしおり。文庫のしおりが映画の割引券になっている角川映画の販促手法があったのはなにかで読んだことがある。
僕が記憶している古い角川映画と言えば薬師丸ひろ子や原田知世主演の(原作赤川次郎・筒井康隆・つかこうへい・宗田理)×新人女優の作品だけど、『復活の日』は小松左京原作でそれより少し前の時代のものだ。
山口瞳『江分利満氏の優雅で華麗な生活』には、羽田から高松空港への搭乗券が挟まっていた。おじさんが読みそうな本だけれど、印字されている名前は女性のようだった。
『闇に学ぶ』からは、Amazonの出荷明細が出てきた。いまはもうAmazonで物を買ってもこのような明細は入らなくなっているが、これも個人名が出ているのでしおりとして使っているとうっかり流出してしまうことがある。
『サルでも描けるまんが教室』1巻には、ぺらぺらのプラスチックの定規が挟まっていた。この本の付録らしいけどよく発行以来30年も挟まったままになっていたものだ。
というかこの本はネット通販で買ったんだけど、普通のコミックスサイズかと思っていたらA4くらいある図鑑みたいな本だった。
レイモンド・カーヴァー『ぼくが電話をかけている場所』には、この本の初版(昭和61年)よりもさらに古い時代の販促チラシが入っていた。
文面から推測するに、昭和40年ごろのものと思われる。
著者自身が我と己が著作を持ち上げるスタイルは、いま読むと斬新。
『会社を変わる法』の語法など、いとクラシカルでよい。
これがどういう経緯で中公文庫のレイモンド・カーヴァーに挟まっていたのだろう。
こういう新刊紹介チラシはいつも捨ててしまうんだけど、この広末涼子さんはすごく僕のなかに90年代を喚起してくる。
この本には、雑誌の表紙・裏表紙が短冊に切られたものが、それぞれ各章の最初のページに挟まっていた。
調べた結果この雑誌は、横浜でかつて配布されていたフリーマガジン『BERRY』の2011年9月号であることがわかった。
短冊の切り方は几帳面なのに、買取に出す本にこれだけ紙が挟まっていても気にしないところになにか二面性を感じないでもない。
倉本聰さんの単行本には、その本とはまた別の倉本さんの著書の、オビだけが斜めに切った茶封筒に入って挟まっていた。
なぜオビだけまとめてあったのか謎だ。
ちなみに買った本にも普通にオビは巻かれていた。
デキゴトロジーの文庫本には、渡辺書房という本屋さんが長谷部様という方の注文を受けて入荷したらしきスリップと、オーエムエムジーのはがきが入っていた。
そういえば昔はこういう婚活系の広告もよく入ってましたね。書店の袋に勝手に入れられるチラシみたいなのもあった。
ちくま哲学の森『恋の歌』には、大阪にあるヒバリヤ書店の納品書のカーボンコピーが入っていた。日付は平成1年。
記載されている店舗のいくつかは、現在は整理されている模様。平成の30年で本屋さんの数は4分の1に減ってしまったのだ。
フランチェスコ・アルベローニの『友情論』には、江崎書店のしおりと、バースデーカードのメッセージ訳というなにかの紙が挟まっていた。
サンリオの文字も見えるので、キャラクターグッズのカードに入っていたような紙かもしれない。
文春文庫の『こころ・坊っちゃん』には、新潮文庫のパンダのしおりと、日付の違う受付整理券2枚が挟まっていた。
整理券の41番のほうは印刷されている時刻が17時を越えていて、銀行や役所のものではなさそうだ。病院のものだろうか? もしそうだとしたら「42」は飛ばしたいところだけど。
『羊と鋼の森』には、おじゃる丸の絵柄が変わる定規が挟まっていた。
これはマクドナルドの景品だそうだ。メルカリやヤフオクにもたくさん出ている。
手書きのメッセージ
厳密には「挟まっていたもの」とは違うけれど、『Camera People』のおしまいの遊び紙の部分に、手書きのメッセージが書かれたものもあった。
『Camera People』はカメラマン以外の一般のひとを含む100人の人々が撮った写真の写真集。
その終わりにはこんなメッセージが。
R・・・chanさんは2020年現在、42歳になっているはず。今も素敵な写真を撮り続けているだろうか。m・・・さんはきっとお友達なのだろう。
サイン本
山川直人さんの『夜の太鼓』は、読んだあとにスキャンしようと思いカバーをはいだらサイン本だったことがわかり、裁断するのはしばらく保留にした。
このキャラクターは『道草日和』などにも出てくる青年なんだけど、山川さんの自画像でもあるのだろうか。
こうした紙類や書き込みのほかにも、漫画雑誌の切り抜きがその単行本に挟まっていたり、古本ではないが自分で十数年前に挟み込んだレシートやガムの包み紙が出てくることがある。
文庫の「今月のラインナップ」的な紙を広げて眺めているうちになんとなくしみじみしてしまうこともある。
いまも全国の古書店の本棚で買い手を待つたくさんの本の中に、昔を偲ばせるいろんな紙類が挟まったままになっているのだろう。
今後も買った本になにか挟まっていたらまた追記していきます。