ドーナツには、donutとdoughnutという、ふたとおりのスペルがあります。
前者の短いほうがアメリカ英語で、後者の長いほうがイギリス英語です。
可算名詞で、複数形はそれぞれdonuts、doughnutsです。
また、英語には「Keep your eye on the doughnut, not on the hole.」という慣用句があるそうです。
自分にないものではなく、いま持っているものに目を向けなさい、という教訓ですね。
この記事はほとんど誰の役にも立たないと思われるので、そんな知識だけ確認していってくださいね。それとドーナツおいしいですよね。ドーナツはおいしいです。穴があってもなくてもね。
よし。
さて。
とても古いローカルCMの話をしたい。
ダンキンドーナツの古いCM
あの曲
ワールドワイドウェブにおいてほぼ需要はないと思うけど、書きたくなったので書いておく。
80年代後半くらいに子どもで、さらに当時沖縄にいたことがある人なら、今でも記憶に残っているだろうと思う、このCM。
ダンキンドーナツのCMだ。アニメなどの再放送をしていた夕方の時間帯にこれが流れているのを、ぼくもよく見た。
この「時計」のCMは、米国では、テレビ広告局(Television Bureau of Advertising,民間テレビ業界のための非営利団体)によって「80年代のCMベスト5」にも選ばれたことのある名作CMだったそうだ。
でもそうした背景の部分は、今回は置いといてもいい。
いつも気になったのはこの歌の歌詞である。
多分あなたも気になっていただろうと思う。きっとそうでしょう。
当時の子どもたちが「犬に噛まれて泣ちゅんどー」とふざけたり、「なんて言ってるのか今はわからないけど、大人になればきっと理解できるはず」と思い、それから年月を経て大人になってからもやっぱりなんて言ってるかわからなくて、これは聞き取れるまでは死ぬに死ねないぞ…とまであなたが思っていたかどうかは知らないが、少なくとも僕はときどき思い出してはそのたびもやもやした気持ちになっていたこの歌の、その歌詞を、親切な誰かがアップロードしたYouTube動画のコメント欄に書き残しているまた別の親切な人がいたのだ。世界は広い。いやこの場合は狭いといったほうが適切なのか。ともかくking tomさんに幸いあれ、宝くじも当たれ。
見てもらいたいのは、あのおじさんではなく、子どもたちが主演しているこの動画だ。
YouTubeコメント欄のking tomさん曰く、この曲の歌詞はこうだ。
"Dunkin' Donuts, you can't buy 'em in a grocery store. Dunkin Donuts, you can't buy 'em in a bakery. Dunkin Donuts, they're not for sale in a restaurant....you have to get 'em at Dunkin Donuts, it's worth the trip."
おお、聴きながら読めば、たしかにそう言っている。あの歌詞の意味がやっとわかった。
このCMソングは、♪ダンキンドーナツは食料品店でもパン屋さんでもレストランでも買えないよ、遠出してでも行く価値があるね…という内容の歌だったのだ。
数十年来の疑問をここに至って解決することができた。
♪べーかぁりぃ⤴
♪れすとぉーらぁ⤴ん。
ふふふ。
われわれが親しんだ時計のCMでは、bakeryの部分はcoffee shopに、そしてrestaurantがpastry(?)になっているし、まだよく聞き取れない一節もある。
それでも、なるほどそういう歌詞だったんだという感慨がある。
もう少し関連動画を漁ってみると、われわれがまだ半ズボンをはいていた頃に見ていたこのダンキンドーナツのCMは、TVCM(1986 Fred the Baker Dunkin' Donuts Time Ad)から映像を、そして上の子どもたちと同じパターンの別のCMから音声を重ねた、ハイブリッド版だったことが推測できる。
ぼくやあなたがが見ていたのは「合成・沖縄バージョン」だったのかもしれない。
ちなみに当時の一連のCMに出演したおじさんには、「フレッド・ザ・ベイカー」という名前があった。
彼を演じたマイケル・ヴェイル氏が1997年に引退した際には、ダンキンドーナツ創業地近郊のボストンでは、パレードまで開催されたそうである。
それだけ長い間CMキャラクターとして親しまれていた。
極東の島々の子どもたちにまで。
もうひとつの懐かCM
YouTubeにはダンキンドーナツの別のCMも上がっていた。ぼくはこちらの手捌きにも見覚えがあるし、そのナレーションも耳の奥からよみがえってくる。
子どもの頃はこれを見て、抜いた穴にあたる部分の生地はどうなるのだろうとぼんやり考えていたっけ。
新しい生地に練りまれてまた棒で伸ばされて、粉を振られ型で抜かれて、穴の部分が転がり出てそれがまた新しい生地に練りこまれて…みたいなことを想像して、甘い匂いとともに無限の奥行きを感じたものだ。
当時の沖縄のローカルCMには、これらと同じように、米国で流れているCMをそのまま使って日本語ナレーションや別カットを上書きするタイプのものがときどきあったように思う。リグレイのダブルミントガムとか。
また沖縄の古いCMといえば、子どものころにCMから耳で覚えたと思しきオールディーズの曲がぼくにはいくつかあって、偶然そんな曲を聴いたりするたびに、なにかを思い出しそうで思い出せないあいまいで幸せな気分になる。
デビー・レイノルズの”Tammy”が流れていたCMも長いこと流れていたように思うけど、あれはどこの会社のものだっただろうか。