週刊少年ジャンプの「創刊号」と「過去最大部数達成号」の復刻版セットを開封した。
過去の週刊ジャンプの中から2巻ずつまとめて3セット発売されたうちのひとつで、2017年に出たのを去年見つけて買ってあったものだ。
この創刊号を含む「パック1」は、1968年の第1号と、1994年に漫画雑誌として最大部数の653万部を記録したときの号を復刊したセットになる。
週刊少年ジャンプ創刊号の中身
1968年のジャンプの創刊号は、8作品でのスタートだった。巻頭を飾るのは梅本さちおさんの『くじら大吾』だ。
ジャンプは少年漫画雑誌としては後発だったが、この創刊号には、赤塚不二夫さんをはじめとして、永井豪さんや楳図かずおさん、望月三起也さんといった、その後もメジャーな活動を続けて今でも多くのファンがいる作家たちも参加している。
表紙には「ぜんぶ漫画・ぜんぶ読切」と書いてあるものの、いくつかの作品は連載1話目が掲載されている。
価格は90円。
広告も、ある程度は当時のまま掲載されている。
ハウスには有名なバーモントカレーがあるが、明治にもバーモントキャラメルがあったらしい。
日本においてアメリカ・バーモント州にりんごと蜂蜜のイメージがあるのは、こうした商品の広告・CMの影響が大きいという。バーモント州とりんごと蜂蜜の関係は、米国人にはぴんとこないという話を聞いたことがある。
作者名の上に「期待の大型新人」とのキャプションのある梅本さちお「くじら大吾」は、梅本さんがちばてつや門下であることがよくわかる絵柄。
赤塚不二夫さんの「大あばれアパッチ君」は西部劇風の舞台(とはいえジープなども登場する)のギャグマンガだ。
望月三起也さん「ドル野郎」は、第二次大戦のヨーロッパ戦線を舞台にしている。
そういえば懸賞の商品もモデルガンだし、裏表紙の広告も戦車の模型だ。
近年、「戦後は教育的観点から戦争を題材にした娯楽表現が子供から遠ざけられていた」という言説も一部にあるが、それは当時を知らない物言いで、単純に事実と異なる。
差別表現に関するお断り。これだいじ。
こんなふうに見られない広告もある。ジャンプの海賊のマークは創刊当時からあったんだな。
1994年に最大部数を記録したジャンプ
もう1冊は、1994年の年末に出た週刊ジャンプ「1995年新年3・4合併号」の復刻版だ。
掲載作品は22作品ある。
これは僕がジャンプを読むのをやめてしばらく経ったころの号だ。
「ドラゴンボール」で魔人ブウと戦っているのはてっきり悟空だと思って読んでいたらそれが実は悟飯だったり、「シティーハンター」だと思ったら「RASH!!」だったり、「花の慶次」だなと思ったら「影武者徳川家康」だったりして、僕が生きた過去とは少しだけ違うパラレルワールドのジャンプをめくっているような感覚になる。当時の人気作家の読み切り作品も数編入っているから、余計にそんな印象が強い。
この号では、連載当時には関心がなく、まったく読んだ記憶のない「ダイの大冒険」がとても感動的なシーンで終わって、続きを読んでみたいと思ってしまった。
こういう作中の広告スペースは、コミックスでは埋めカットやつなぎのコマに差し替えられる。
ちなみにこの東京アカデミーの広告は、こち亀のコミックスでは、両津さんたちが車を眺めて「高級車がどんどん来る どんな金持ちなんだ」と言うコマになっている。
ジャンプ放送局。錯乱坊主さんなど見覚えのある名前もある。
イラストの回のときだけ名前を見る投稿者の方もいたっけ。
懸賞の当選者は名字だけになっていた。
この1994年の「1995年新年3・4合併号」は、個人的には漫画そのものよりも、広告や懸賞に出てくる商品に訴えかけて来るものがあった。CDラジカセ、G-ショック、PC-FX、パワーマッキントッシュ6100、ワイド画王ヨコヅナ、多機能ファックスおたっくす、セガサターン+バーチャファイター、プレイステーション+リッジレーサーなどなど…。
考えてみればジャンプ第1号の1968年から1994年までが26年差、そして1994年から現在2020年までが、これも同じく26年だ。
僕が親しんだジャンプは、ジャンプの歴史の中で中間地点よりちょっとさかのぼったあたりだということになる。
僕はもう長らくジャンプを読んでいないけれど、いまジャンプ最新号を買って読んだら(「鬼滅の刃」のタイトルだけは知っていたりする)、またなにか新しい感慨があるのだろうか、とも思うし、勝手なイメージながら、正直なさそうだとも思う。
1987年(ジョジョ)と1997年(ワンピース)のパック2
実は第2集・パック2のセットも手元にあるので、そのうち開けようと思う。
パック2は「ジョジョの奇妙な冒険」連載開始の号と、「ワンピース」開始の号のセットだ。
こうした復刻版のほかにも、1冊丸ごとキン肉マンだけの週刊ジャンプとか、それぞれシティーハンター、ドラゴンボール、北斗の拳それぞれの名シーンを集めたジャンプとか、いわゆる「ジャンプ黄金時代」に少年ジャンプに親しんだ世代の読者を意識したバージョンが発売中だ。