多読3か月目となる今月は、引き続きラダーシリーズから、レベル2とレベル3を中心に読んでいた。
ラダーシリーズは同じレベルでも難易度に差がある
ラダーシリーズのレベルは語彙量基準
ラダーシリーズのレベルは、使われている単語の語彙数で分けられている。
レベル1では基本1000語まで、レベル2ではそれにプラス300語、レベル3ではさらにプラス300語などと、段階的に難易度が上がっていく。
でもこれはあくまで語彙量に基づくレベル差であって、書物の内容の難易度に基づいているのではない。
だから、語彙1000語レベルと1300語レベルにはもう差を感じなくなっているような読者がラダーシリーズレベル1~3くらいの本を読むと、内容そのものへの興味や理解の程度の差によって、本に表示されているレベルと体感上の難易度が逆転してしまうことがしばしばおこる。
今月はラダーシリーズを中心に読んでいて、そんなことを実感した月だった。
ラダーシリーズのレベル2
先月はラダーシリーズのレベル2を中心に読んでいたので、今月もまずはそのレベル2から読む物を選んだ。
オー・ヘンリー傑作短編集
年が明けて最初に読んだのは『オー・ヘンリー傑作短編集』。
オー・ヘンリーの作品には、ひねりの効いた修辞が作品中に一つ二つ必ずあって、それは単語を易しいものに置き換えたくらいでは意味が通りやすくならない。
むしろ前後の言葉を省いて文章を詰めているせいで余計分かりにくくなってしまい、部分的に読みづらくなっている箇所がある。とくに作品の序盤でそんなパートが出てくるとずいぶん難しそうに感じてしまうのだけど、物語が始まって事実内容を理解して波に乗れば、彼の作品はわりとすいすい読めるし、とても面白い。
先月読んだ同じレベル2の『恋と仕事にスグ効く英語100』よりも英語を読むストレスは少なかった。
ローマの休日
先月映画字幕版を読んだ『ローマの休日』は、小説の形になっているこちらのほうが、やはりお話としてはまとまっていたように思う。
若草物語
『若草物語』は小学生の頃に読んだことがあるような気もするけど、何も覚えていないので、ほぼ初読といっていいだろう。アメリカのピューリタン的中流家庭の個性的な四姉妹の物語だった。
「四姉妹もの」って、英米文学ではひとつの定型なんだろうか。映画の『若草の頃』も四姉妹(と男の子ひとり)だったような。
昔何かのCMでもあったっけと思って検索したら、ポッキーにそういうのがあった。全然覚えてないけど懐かしい雰囲気だ。
『若草物語』は、以前日本語で読んだことがある5人姉妹の『高慢と偏見』をどうしても想起する人物配置。ただこちらのほうが年齢が幼く、叙述の内容も子ども向けで教訓的な部分が多い。
ガリバー旅行記
原典の諸国巡りのうち、最初の「小人国」パートと結末部分だけからなる、簡約版ガリバー旅行記。
異国の文物やカルチャーを紹介するところなど、物語の進行とは関係ない細部で、ややこしいところがちらほらあった。
また「文章自体は読めるけど、読めても何のことかわからない」というところもところどころある本だった。木とハンカチでリングかコート的なものを作ってリリパットたちを遊ばせるくだりは、あとで青空文庫の日本語で読んでそんなことだったかと理解はしたものの、映像としてのイメージは最後まで浮かばなかった。固有名詞や熟語などもレベル2のわりには難しいと思う。
ロミオとジュリエット
『ロミオとジュリエット』の小説版。これはよかった。ぼくはこれまでこの作品を活字では読んだことがなく、映画のイメージしかなかったから、どうしてもロミオはディカプリオの顔でイメージされた。
元の戯曲からけっこう端折られてるんだろうとあちこちで感じはしたものの、それでもわからない部分が全然なく、面白く読めた。物語はピュアで感動的だし、コピーライティング的な強さのあるセリフにもぐっと来た。
レベル2のなかでも読みやすいおすすめの1冊。
オズの魔法使い
原著を先に読んでいたので、こちらはさらっと流し読み。ラダーシリーズのなかでは割と長めなので、語数を稼ぐことができた。
マクミラン・リーダーズ
Michael Jackson the king of pop
マイケル・ジャクソンの伝記。モータウン時代以前のことも書いてあって楽しめた。
マクミラン・リーダーズのPre-Intermidiateは、語彙1400語レベル。ラダーシリーズでいうレベル2(語彙1300語)ほどの難易度だ。
やさしい英語だし、内容も具体的なので、読んでいる間はほとんど英文を読んでいることを忘れていた。ラダーシリーズの本と比べて字が小さいのも、速読にはむしろ適している。
0円Kindle本の児童書
ラダーシリーズと並行して、Kindle本もPCのブラウザで読んでいた。すべて0円のものから選んだ。
オズの魔法使い
原著『The Wonderful Wizard of Oz』を、Kindleの無料本で読んだ。
Lexile指数ではこの本の難易度を970Lとか1030Lとしているページもあるんだけど、たぶんそんなに高くはないだろう。
Lexileでは『老人と海』が940Lで、『二十日鼠と人間』や『停電の夜に』が1050L。この児童文学の文章はそれらと同等のレベルなのだろうか? おいおいこれらの本も読んでみよう。
これをダウンロードしていたのを忘れてラダーシリーズレベル2の『オズの魔法使い』も買ってしまったので、あとでそれも読んだ。
Coronavirus: A Book for Children
短いパンフレット的なKindle本。今月の語数には含まず。
The Great Stone Face: And Other Tales of the White Mountains
ナサニエル・ホーソーンの短編集。Kindle無料本。これがなかなか難しかった。
表題作は、事前に日本語で概要を読んでそれなりに話の流れは追えていても、知らない単語の出現頻度がちょっと多すぎたし、ひとつの文もコンマとセミコロンで数珠つなぎになってるようなものが多くて、読みとおす根気が続かずギブアップ。
読んだ気がしないのでこれも語数に含めず。
A Wasted Hour
ジェフリー・アーチャーの短編。0円Kindle本で、PCに表示して8ページくらいの短さ。とてもよかった。
中盤の昔語りの部分に出てくるわからない単語を飛ばして読んでも、大筋にかかわるようなことはなく、気持ちよく読めるいい小説だった。なんだかあいまいなタイトルも読後には重層的に響いてくる。
ジャングル・ブック
連作短編で7話あるうちの3話までを読んだ。
聖書からの引用句や「Thou Swell」というジャズの曲くらいでしか見たことがなかったthouとかtheeとかの古語が出てきて、「おっ」と思う。
wilt(willの二人称単数現在形)みたいななかなかお目にかかれない助動詞も、「Wilt thou still keep him, Mother?」のような文で出てくると、ああwillと同じなんだなとわかる。そんなふうにart(are)やthine(yours/your)といった見慣れない単語の意味も、文章の中で十分推測可能だった。
この作品もひとつひとつの文は長めだし、とくに序盤には堅苦しいセリフも多い。でもThe Great Stone Faceよりは易しく感じた。
Peter Pan in Kensington Gardens
『ケンジントン公園のピーター・パン』。
われわれが知っているピーター・パンの前駆的な物語らしい。ピーター・パンがまだ幼児で、物語は面白そうなんだけど、語りがまだるっこしかった。
なんのことを言ってるのかはっきりしない部分が多々あり、興味が続かなかった。途中まで読んで脱落。
Peter and Wendy
映画などのピーターパンの原作になっているのはこちら。しかしぼくはこちらのほうも、初読では序盤で投了。ピーター・パン登場まで忍耐が持たなかった。
単語もわりと難しいし、なによりファンタジーに立脚した語り口がリアリズムのそれとはかけ離れていて、とっつきにくい。
数日後に気を取り直し、あらためて曖昧模糊とした理解のまま読み進む。
2章で一瞬ピーター・パンが出てきてようやく物語が始まるかと思ったらすぐいなくなり、その後は無味乾燥な話が続いて気持ちがくじけそうになる。しかし文章は1章よりは平明になっている。
この作品は3章からぐっと面白くなるので、退屈な2章までは登場人物の把握と大ざっぱな事実くらいの理解で流し読みしてもいいと思う。
でもぼくはやっぱり途中までで脱落してしまった。
ラダーシリーズのレベル3
レベル2は読み物として密度が薄いと感じることがしばしばあったので、レベル3に進んだ。
こころ
夏目漱石の『こころ』。
作品の前半~中盤部分まではざっとあらすじを紹介してあり、終章「先生と遺書」の、途中から結末までがメインとなる。
すいすい読めたけれど、過去に日本語で読んで内容を知っていたからということはありそう。もう一度この作品を日本語で読みたくなった。
宝島
これは巻末の単語をチラ見しながら、単純にエンタメとして楽しく読むことができた。
野性の呼び声
高校生のころに翻訳で読んだときの印象からすると、全体的にあっさりした叙述になっているように感じたので、かなり圧縮され情報がそぎ落とされているのではないだろうか。
内容にも十代で読んだときほど精神的な深みを感じられず、いくぶん説明不足のように感じるところもあった。難しい単語はそんなには出てこないけれど、英文も長めの文が主体で、またしばしば関係代名詞が省略されているというようなこともあり、これまで読んできたレベル3のなかでは読みにくいほうだ。
シャーロック・ホームズの冒険
ラダーシリーズには珍しく、本のなかに挿絵がなかったが、これまでに読んだラダーシリーズの中で、この本が一番楽しめた1冊だった。
収録作は『ボヘミアの醜聞』『赤毛組合』『まだらの紐』『ボスコム谷の惨劇』『唇のねじれた男』の5編。
このうち3つは昔読んだ記憶のあるタイトルだったけど、あらためて刈り込まれた英文で読むと、さらに面白い。日本語に訳されているものは、原著の装飾的な文章もそのままなのに対し、この本ではそうした部分をそぎ落として筋だけになっているので、物語がとてもクリアだ。
ウォールデン 森の生活
ソローの『森の生活』は日本語訳でもそうなんだけど、語られるエピソードとそれによる主張との関連が、必ずしも一読明瞭でない。文と文、段落と段落の意味的なつながりも簡明でないことがあり、理解のために整理や類推を要するところがある。
ラダーシリーズの平易な英文のほうがむしろよく理解できるのではと期待したんだけど、英語でもやっぱりそうした傾向はあり、難易度はこれまで読んできたレベル3のなかでは最も高めだと感じた。とはいえ単語はとくに難しくはない。レベル4以上に慣れたころにもう一度読み返してみたい。
英語多読3か月目を振り返る
今月だけで100万語の4分の1以上を読むことができた。
でも本当はもっとゆっくり進んでじっくり慣れていったほうが、身に付く度合いは高いのだろう。
3か月目:27万8000語
累計:48万2000語
来月には折り返し地点を通過することができそう。早ければ夏までに、と思っていたけど、このペースなら夏になる前に100万語まで行けるかもしれない。
急ぐことはないという気持ちと、早く終わらせてしまいたいという気持ちを両方とも感じている。来月はラダーシリーズのレベル4を中心に読んでいく予定だ。