本屋に行くとトイレに行きたくなる、という人はけっこういるようだ。
でも、地図を眺めていると便意を催す人がいるとはまだ聞いたことがない。実は僕がそうなのだけど。
しかしこれは僕だけの特異体質だとも思えない(また思いたくない)。きっとほかにも、そんな人たちはいるはずだ。
道路地図で便意を覚える不思議
この体質に気が付いたのは大学生の頃だった。
大学1年の夏休みに免許を取って車を買い、遊びの行動半径が広がった。
それで遠めのお店を開拓したり、目的地へのルートを確認するために道路地図を眺めていると、なぜか大きいほうを催してトイレに行きたくなることがたびたびあったのだ。
地図のどういう点が作用しているのかわからないが、とにかく視覚情報が腸を刺激していることは間違いなさそうだった。
ただし地図は地図でも、世界地図のような縮尺の小さい地図では全く反応しない。
効能(?)があるのは、旅程を検討できるような縮尺が大きめの道路地図のような地図だ。
紙の地図帳でもいいし、ウェブの地図でもいい。
こういう地図を眺めながら、「明日はまずこの駅で降りて、この道をこう通ってここのお店に寄ってから、帰りはここからこう出てそれから…」などと考えていると、てきめんに便意がやってきたりする。
奇妙なことに、同じ地図でもただぼんやり見ているだけでは、そうした効果は現れない。
ルートに沿って視線を動かしたり、歩く道を選んだりする必要があるようなのだ。
学生の頃は、これに「喫煙とコーヒー」が加わるとさらにその効果がパワーアップした。
学校に行く前にたばこを吸ってコーヒー(缶コーヒーがいい)を飲んでから、地図を取り出して眺め、意図的に便意を喚起してからおもむろにトイレに入るようなことができた。
そのうちたばこも吸わなくなったし缶コーヒーも今では飲まないので、残るは地図だけなのだけど、地図の効果はいまも失われていない。
僕にとって道路地図は副作用の全くない便秘薬なのだ。
ちなみに、僕はどちらかというと本屋にはよく行くほうだと思うけれど、本屋で急な便意を催したことは、これまでに2回だけ。
頻度で見ればそうしたことは例外的で、本屋に行くと大がしたくなる体質だとは自認していない。
でも地図だけは明らかにそんな効果をもたらすと感じている。
世の中は広いので、本屋や地図以外にも、なにか自分だけの秘法を持っている人がいるかもしれない。きっといるだろう。
そうした情報は、こうして公開しておくと誰かにヒットして役に立ったりするのではないだろうか。