予報の精度は進化してきても、年々、台風が局地的に大きな被害を出すことが増えています。また、いったん大きな被害が出た場合、復旧にも時間がかかるようにもなっているように思います。
勢力の強い台風が接近してきたら、かつてない強さの風が吹く可能性が高いので、対策を万全にして安全に乗り切ってください。
この記事では、強い台風を比較的多く体験してきた沖縄県民が例年の台風接近時にとっている、家庭での対策を紹介します。
基本的な台風対策
風が強くなる前にすること
まずは外にあるものを飛ばないようにすること。
植木鉢などは塀の上などの高いところにあれば下ろし、室内に入れるか、風の吹きこまない場所にまとめる。
人の背丈くらいの植木は、強風で折れたり倒れたりしないように、お互い同士、または周囲にあるものと結ぶといいでしょう。
自転車などもできれば玄関に入れ、ごみのバケツなど大きくて家に入らないものは、飛んでいかないように水を入れて重くします。
ガラスケースをおもてに出している喫茶店などは、ブルーシートとトラロープで飛来物の対策をしています。
これは台風の時の写真ではありませんが、風で倒れたり走っていきそうなものはわざとこうやって倒しておきます。
都市部なら車はタワーパーキングに入れるといいでしょう(その余裕があれば)。
当座の現金を用意し、洗濯は早めに終えておくこと。
食料品について
冷凍庫で氷を多めに作っておくか、買っておく。これは停電した時に冷凍庫の中のものを長持ちさせるのにも役に立ちます。
水道が止まることはあまりないものの、水も買っておくといいかもしれません。
停電で調理家電が使えなくなった時のために、ラーメンやパンなど常温で保存できるものを準備。
キッチンがIHの場合には、カセットコンロの用意も必要です。
ただ大量のラーメンとかパンとかスナック菓子を目の前にすると、急に「果物が食べたい」などと思ってしまったりするので、そこはバランスよく好きなものを買っておきましょう。外に出れないとなると家にないものが食べたくなるものです。
台風後は葉もの野菜が品薄になるので、買うか買わないかはともかく、そういうことも考えておけるといいかも。
お薬やおむつなど、切らしてはいけないものの確保も必須です。
停電への備え
スマートフォンやPCのバッテリーはしっかり充電しておく。モバイルバッテリーもあるとさらによい。
USBのライトがあれば、モバイルバッテリーは懐中電灯としても使えます。
台風前に100均などに行くとLEDのライトは軒並み売り切れているので、持ってなければ購入は早めに。
乾電池式のLEDライトは持続時間が長く、数時間で消えるロウソクよりもずっと効率的で安全な照明で、僕もいくつか持っていますが、LEDとはいえ電池の消耗とともに明るさが低下していくものなので、乾電池は多めにまとめ買いしておくのがおすすめです。
あとトイレがタンクレスの場合は、停電した時の水の流しかたもあらかじめ調べておきます。
PCで作業をしている場合は保存をこまめに。
停電してしまったら
停電時には、懐中電灯を天井に向けると、上から明かりを吊るすよりも部屋全体が明るくなります。
冷蔵庫の開閉は最低限に。冷凍庫は電気が復旧するまでなるべく開けないつもりで準備できれば、1日、2日くらいは保冷できます。
風が吹いてきたら
雨戸を閉める。本州の台風は足が速いので、風が吹き出す前に閉てておいてもいいかもしれません。
ベランダに出してある履き物などは忘れずに仕舞っておくこと。
雨がとても強いときは、サッシの溝に新聞紙やタオルを詰めることもあります。
風が強くなってきたら
なにより外に出ないこと。
割れたガラスでけがを…、とか、ドアに指を挟んで…、という報道も2,3年に一度は見聞きするので、どうしても外に出ないといけないときは、非常事態だということをしっかり心に留めて最小限の行動を心がけましょう。
強風下では傘は役に立たないし、凶器に変わります。ポリタンクみたいなものが気ままに道路を転がっていくのもたまに見ることがあります。
沖縄の家の窓に格子がついているのは、防犯のためのみならず、看板とか大きなものが飛んだりすることがあるからでもあります。
台風の現在地の推定と風向きの変化
台風の風は、目を中心にして反時計回りに吹いています。
大雑把にいえば、風を正面から受けるように立ったとき、その右手方向に台風の中心があるので、停電で情報が遮断されている場合でも、窓の外の雨の流れから台風の位置がわかりますし、ある程度今後の風向きも予測することができます。
また、台風は進行方向の右側で風が強くなる傾向があることも頭に入れておくといいでしょう。
進行方向の右側では、台風自体が進む速度と風向きが合成されるため風が強くなることがあります。これを沖縄では、台風が過ぎたと思ってもけーし風(返し風)のほうが強いから気を付けなさい、などと言ったりもします。
2019年の台風15号で神奈川・東京よりも千葉の被害が甚大だった理由の大きな部分が、このメカニズムによるものでした。
ただし地形や家屋の向きで風当たりの強さはいくらでも変わるので、この右側(危険半円という)でないからといって軽視はできません。
本州に行くときの台風はスピードが乗っていることが多いので、どちら側にいても強い風が吹く可能性があります。
台風の最中にすること
ラジオ(電池式のものがあるといい)を聞いたり、地元メディアが災害情報をツイートするのを見たり、あとは積んでる本でも読みましょう。
低気圧だとよく眠れるというようなことを聞いたことがありますが、暴風の音を聞きながら寝るのも、実際心地よいものだったりします。
環境の特性にも配慮する
その土地、住居の形態、保有している交通手段などによって防災に必要な備えは変わります。都市部と離島と山間部と沿岸部では対策も違ってくるはず。
台風では、停電のほか、強風による倒木とがけ崩れ、地滑り、高波にも、個々の状況に合わせて配慮をしましょう。
片付けるまでが台風です
台風のあとはGSに洗車の列ができます。潮風に吹かれて砂や葉っぱがこびりついた状態で車を放置していると痛みが早くなります。
家屋も同じで、台風のあとは高圧洗浄機で家を洗っている家庭がたくさんみられます。
ご近所付き合いがあるなら、とくに高齢者宅への声掛けはしたいものです。
台風対策まとめ
急いでざっと書いてみましたが、台風対策の基本的なところは押さえることができたんじゃないかと思います。外回りの風対策と、食べ物と電源を最低限準備しておきましょう。
万全な構えで台風をストレスなく乗り切りましょう。