不要になったハードディスクは、万が一にも情報流出の恐れがないようにしてから廃棄したいものです。
この記事では、ハードディスクドライブ(HDD)の分解や破壊のしかたをお伝えします。
必要な道具はとりあえずドライバー。ねじに合うドライバーがなかったりねじ山をなめてしまったときでも、あとで出てくる「チス」があればなんとかなります。
古いHDDをドライバー1本で分解してみる
HDDの分解手順
まず最初は、古い3.5インチのハードディスクドライブを分解してみます。
これは2004年ごろに購入したもので、ぼくが初めて買った外付けHDDでした。メーカーはバッファローで、コネクタ回りが不調でいったん不動になったときに、ケースを市販のものに交換して復活しています。
最近4TBのポータブルHDDを導入して、複数の古いHDDのバックアップが済んだこともあり、長く使っていなかったこのHDDは分解して廃棄することにしました。
ケースから本体を取り出す
ケースから本体を取り出しました。
本体はIDE接続の120GBのHDD、SAMSUNG製でした。いまとなっては接続方式も容量も古さが否めません。外付け用ケースもUSB2.0ですし、ACアダプターもサイズが大きくて場所をとります。
今後使うこともないでしょうから、ケースも廃棄します。
ケースは逆に古すぎて、メルカリとかに出せば買ってくれる人がいるかもしれません。
ねじをはずす
まずはHDDの外周のねじをはずしていきます。
見えているねじ以外に、シールの下に隠れているねじもあるので、それも外します。
ここでいったん裏側も見てみましょう。
裏側にある基板も取り外すと、このように何やらあやしいシールが見えました。
WARRANTY VOID IF REMOVEDと書いてあります。剥がすと保証が受けられなくなるという意味ですが、今回は分解が目的なので、かまわず剥がします。
そうすると、穴の奥に鏡のように輝くディスクが見えました。
これがプラッタというパーツで、「ハードディスク」のディスクそのものです。
プラッタはアルミやガラスでできた円盤で、このディスク上にPCのデータが記録されます。
この穴にドライバーなどを差し込んで、これを直接破壊することもできます。
でも今回は中を見たいので分解を続けます。
プラッタを取り出す
すべてのねじをうまく外せていれば、このようにふたを開けることができます。
プラッタの表面にはCD-Rなどのように書き込んだあとのようなものは見えず、完全に鏡面にしか見えません。
このHDDには2枚のプラッタが使われていました。
そして取り外したのがこちら。
直径を測ってみると95mm弱。
3.5インチは8.9cmほどの計算になるのですが、なぜか予想したサイズとは異なっていました。
まあともかく、これを屋外に持っていってなにかの袋に入れてその上から叩けば、ガラス製ならば割る、アルミ製ならば曲げることができます。
今回のものはガラス製のようです。
この動画は悪い例。PC Watchの動画とは思えないひどさです。直接叩くのは破片が飛び散って危険なのでお勧めしません。なにか袋に入れればあと片付けも楽ですよ。
プラッタの表面をひっかいて傷つけても読み込めなくなるそうです。割ってしまうとあとの廃棄が面倒ということもあるので、ドライバーなどでこすって傷つける方法もいいですね。
トルクスねじが使われていたら
HDDの外装や内部には、トルクスねじという特殊なねじを使っている場合があります。
トルクスねじは星形ドライバーとも呼ばれるトルクスドライバーを使って回すのですが、トルクスドライバーは、使いみちが限定されている上に買うとまあまあ高いので(1000円前後)、分解はあきらめてこのまま外から破壊するほうがいいです。先ほどの裏面の穴にドライバーなどを差し込んで、柄の部分をハンマーなどで叩きます。
裏面に穴が見当たらないときは、外装の外から破壊します(次の項目を参照)。
HDDの廃棄
燃えないごみとして捨てる時は尖った部分を処置するなどして、安全に回収できるようにします。
HDDを外から破壊するには
HDDのシールをはがしても穴が見当たらないときは、外装の外から物理的に破壊します。
ねじが固く締まっていて回せない、またはねじ山をなめてしまったなどの場合にも、このまま外から破壊します。
チスでHDDに穴をあける
このとき使うのはチスとかチスタガネとか呼ばれる道具で、本来はコンクリートやタイルなどの工作物を撤去するときなどに用いるものです。
これはトラスコの12mmのチスで、Amazonで一番安いチスでもありますが(257円)、ハードディスクの破壊には十分な働きができます。なにかのついでに一本買っておくといいです。
Amazonのページには購入時のぼくのレビューも載っています。
さて、これもまた古い40GBのHDDを、チスで使用不能にします。
このへんかなと狙いを定めたら、おりゃー! とぶったたきましょう。金槌がなければ鉄アレイでもなんでもいいです。ハードディスクの外装は予想以上に固いですので、軽いゴムハンマーとかでは無理かもしれません。
画像では、穴をあけたものを机の上に持ってきています。基本的には屋外でしたほうがいい作業です。
先端が突き抜けました。
先ほどまで振っても何の音もしませんでしたが、今はなにか粉々になったものの動くシャラシャラという心地よい音がします。プラッタはガラス製だったようですね。
このようにHDDは自分で再使用不可能にすることができます。
HDDが故障して動かなくなってもデータは無傷ということもあります。動かないHDDがケースを取り換えただけで復活した例は、先に書いた通りです。
HDDの物理的な破壊は、データ流出の可能性をなくすという意味で、安心を作る作業でもあります。
HDDを分解・破壊したあとは、自治体の分別方法に従って廃棄してください。