コンビニエンスストアが「コンビニ」と略語で呼ばれるようになったのはいつごろか 

コンビニはいつごろからコンビニと呼ばれるようになった?

コンビニエンスストアが「コンビニ」という略称で呼ばれるのが一般的になっていったのはいつ頃だろうか。

僕が中高生だった88年か89年ごろには「コンビニ」で通用したような気がしているんだけど、どうだろう。記憶が確かでない。まだ個々のチェーン名で呼んでいたかもしれない。

また、当時はそのチェーン名も「ファミマ」と略さずに「ファミリーマート」と呼んでいたと思う。少し後になって、ファミマとは強引に略すものだなあという印象を受けた記憶もある。「ファミマ」は、なんでも雑に略しだす90年代からではなかったか。

コンビニエンス物語

コンビニエンス物語

『コンビニエンス物語』は雑誌『TVBros.』に連載された1987年から89年のコラムをまとめたものだ。コンビニエンスストアでなにか1点購入してきてエッセイを書くという内容のもので、泉麻人さんといとうせいこうさんが交互に執筆するスタイルだった。

時代は昭和末期から平成初頭。大手コンビニに限らず、個人経営の雑貨店のような24時間営業の商店も数多く取り上げられていて時代の色が濃いが、それもあずかって当時売られていた珍商品カタログのおもむきもこの本にはある。

第1回の1行目の「コンビニエンスストアー」に始まり、文中の表記は「コンビニエンス」でほぼ一貫している。

途中で泉氏が果敢にも「コンビ」表記を数回試みているのだけど、その泉氏も連載が終わりに近づいた89年7月10日の記事では「コンビニ」と表記するに至っている。

文庫巻末にある単行本版のあとがきには、「『コンビニ』という省略名称もすっかり普及した感がある」とある(1989・11・2)。

そのさらに後になる1992年のお二人の対談も収録されており、そこではすでに「コンビニ」が一般的に定着していることが見てとれる。しかしお二人ともまだこの略称には、新しい世代のことばとしての雰囲気を感じているようだ。

あなたと、コンビに、ファミリーマート

ファミマの沿革によると、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」のキャッチコピーは1989年1月から。

(画像はインターネットアーカイブより)

このコピーは「コンビニ」ではなくコンビに、と一部ひらがなだったんだね。24時間営業を示す太陽と星の旧ロゴも懐かしい。

ともかく、これは「コンビニ」という略語が全くないところでは生まれそうにないコピーだ。また逆に「コンビニ」という略語が完全に一般化したあとであらためて掲げるには、拙いキャッチコピーであるように思う。とすればこの89年前半ごろが、「コンビニ」という新鮮な言葉が定着していった過渡期だろうか。

この本は初期コンビニにまつわるエピソードばかりでなく、バブル期のサブカル系雑誌に膨大に書き飛ばされていたその場しのぎの雑な文章の香りもよく思い出させてくれる。おおむねいつも淡々と進行する泉氏の文章と比べ、とくにいとう氏の文章は後半からみるみるやっつけ仕事になっていく。そしてなにかというと話題に「性」が絡んでくるのも、媒体の性格もあるのだろうけど、なんともあの頃っぽい。

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