IP・IPAはエタノール消毒液の代用にできるか
エタノール消毒液とエタノールジェルが品薄
エタノール消毒液は、現在のネット通販ではずっと品切れだったり不当に高価な値付けをされていますが、ドラッグストア実店舗には従来と同じ値段でおいてたりするところもあるようです。ぼくが先日2件行ったマツキヨにはありませんでしたが…。
マツモトキヨシで消毒用エタノール、エタノールIP有りました‼️
南1条と狸小路、part2各店10本以上ありました。#札幌マスク#消毒用エタノール#マツモトキヨシ pic.twitter.com/cw6isauu4z
— milk(みるく) (@azu_milk7) June 21, 2020
このツイートの写真で緑のキャップのボトルが消毒用エタノール、そしてその隣にある黄色いキャップのボトルが消毒用エタノールIPです。IPのほうは価格も安いですね。
IPの付く方も中身はエタノールとほぼ同じ。添加物を加えて飲めなくしてあって、エタノールにかかる酒税を回避できるぶん安いのです。
メーカーによってIPだったりIPAだったり表記が違いますが、エタノールにイソプロパノールを添加したものという点では同じものです。
IP/IPAは一般に広く使われているもので、市販されているスマホクリーナーなども、主成分は水とエタノールとイソプロパノールだったりします。
「消毒用」と表記できないメーカーの立場
この時期気になる消毒用としての有効性について、健栄製薬のHPから抜粋してみましょう。
消毒用エタノールには、エタノール(C2H6O)76.9~81.4vol%が含まれています。これに対して、消毒用エタノールIPにはエタノール(C2H6O)76.9~81.4vol%に加え、添加物としてイソプロパノールが含まれています。なお、両者の殺菌効果は同じであり、その使い方にも違いはありません。
殺菌効果も使い方も同じですね。
まあどちらも中身のエタノールの濃度が一緒なので、当然です。
ということは、並べて売ってあれば安いほうを選べばいいですね。
消毒用とうたわないIPAについては、三協化学株式会社のサイトに次のような記述があります。
消毒や殺菌に使用されるIPA(イソプロピルアルコール)は、日本薬局方に沿った確認試験を行い、医薬品として製造されているものです。逆に、そのような試験を通過していないものは、医薬品として「消毒」や「殺菌」ができると謳うことができません。
要するにこちらも成分としては消毒用と同じようなものであるものの、医薬品としての試験を通していないため、消毒用として使えるという表示ができないということですね。
でも実態としては成分は同じなので、消毒用として用途を限定して使う限り、IPAも十分にエタノールの代用になると考えられます。
現実には代用にすることも多々ある
実際に、今回の新型コロナで品薄になっている消毒用エタノールや消毒用IPAの不足を受けて、厚労省が医療機関に対して工業用IPAでの消毒を認める通達を出しています。
そして医療従事者でない一般ユーザーも、当座のアルコールとしてIPAを購入して使っている例は多いです。
市販のIPAを使って自己責任という形での手指の消毒は問題なさそうです。
ぼく自身も適切な濃度を保って手指や日常的に触れるものの消毒に使う限り、たとえラベルが医薬品でなく工業用であっても、健康被害が出るようなものとは認識していません。
でも一番いいのは石鹸と流水で手を洗うことであるのは言うまでもありません。それができない場面に限ってのアルコール類ですのでね。
適切な消毒用アルコールの濃度
エタノールもIP/IPAも、体積基準(v/v)で濃度70%に薄めて手指の消毒に使用します。
濃度が高すぎると揮発するのが速く、かえってウイルスの外壁を壊す効果が薄まりますし、肌への負担も大きいです。
その肌への負担を和らげるために精製水のほかにグリセリンを混ぜるということが一般に行われていますが、そこまで気にしないのであれば水道水のみでも構いません。
原液で使ったり薄めすぎたりせずに濃度70%になるように計算して使いましょう。
先の健栄製薬のエタノールやエタノールIPは、製品自体のエタノール濃度が76.9~81.4vol%ということでしたので、おおよそ80%とみて、製品100に対して15くらいの容積の水を加えれば適切な濃度になります。
製品100:水15
=エタノール80:その他35
=エタノール約69.6%
消毒用と表示されていないIPAが普通に買える穴場
Amazonなどでは、ドラッグストアカテゴリのエタノール、エタノールIP、アルコールジェルが軒並み品切れになっていたり、値段が上がっています。
そもそもほとんどの消毒用アルコールジェルにはアルコールの濃度が記載されていなくて、正体不明であり、レビューで散々な書かれ方をしている商品もあります。
全体的に星の評価も低めです。
でも産業・研究開発用品カテゴリのIPAはどうでしょうか。
実はこちらがアルコールの穴場みたいになっています。
こうしたIPA(イソプロピルアルコール)に今年の3月以降についたレビューを見ると、多くの人が手指の消毒用に使っていることがわかります。そして個々の評価も高い。
ちょっと長いですが引用してみます。
と、このようにIPAを対コロナウイルスの消毒用として使っている人が多いのです。
こちらの商品ページ↓から引用しました。
こちらはもともと安価なうえに値段も吊り上がっておらず、注目する人が少なくて在庫も切らしていないので、エタノールよりお得にアルコールが入手できるというわけです。
1Lで1000円程度と、ドラッグストアカテゴリの中国製と思われる輸入商品についている価格の3分の1くらいの値段です。
ご近所でアルコール類の入手が難しい場合、こうした通販を検討されるといいと思います。
製品ページのレビュー欄で、今年に入ってからのユーザーの書き込みに目を通し、参考にしてみるとよいでしょう。